医学生・研修医の皆様へ
先輩に聞く!
女性医師の声 リレーエッセイ
YUI MATSUDA
松田 祐依
総合内科・総合診療科
総合内科におられる先生は様々な経歴、専門分野を持っています。
私は自治医科大学を卒業後、へき地の病院で内科外来、病棟業務、救急対応などの診療をおこなってきました。義務年限という期間を終えて、卒後11年目から総合内科・総合診療科に所属しています。まだ数ヶ月ではありますが、私が感じたことをお話します。
総合内科は各分野の専門医に相談できる貴重な場所です。私は地域で診療をしている時に、疾患の診断や紹介のタイミングについて悩むことが多々ありました。患者さんの「なんとなくしんどい」が、内分泌疾患などの比較的頻度の少ない疾患であった時、気づかず見逃していたかもしれないと不安になることがありました。また、患者さんの予想外な病状進行に、感染症の原因精査、紹介のタイミングがいかに重要かを痛感しました。もちろん、院内で相談できる環境はありましたが、その分野の専門医に意見を聞きたい、という内容は多くありました。そうした地域での経験を経て、今いる環境のありがたさを実感しています。
総合内科におられる先生は様々な経歴、専門分野を持っています。これからの方向性をしっかり決めておられる方も、まだ不確定な方も、興味深い出会いのある場所になると思います。
Y.S
Y.S
総合内科・総合診療科
総合内科には個性を受け入れ、活躍できるように後押ししてくださいます。
「女は男の3倍働かないと一人前と認めてもらえない。」これは、私のことを娘のようにかわいがってくれた大先輩の女性医師の口グセです。家事、育児をしながら、いくら必死で仕事に取り組んでも周囲に認めてもらえない、そんな時代の話をしては、「あなたもがんばりなさい。」と私に夢を託してくれました。でも、女性医師だからといって差別なんて受けた覚えのない私には、遠い昔話のようにしか聞こえていませんでした。
ところが、結婚、妊娠、出産、育児とライフイベントが起こる度に、あの先生の話が自分の現実となってきました。毎日一生懸命やってるはずなのに、仕事中には仕事に全力で向き合えない自分に劣等感を感じ、家に帰ると家事、育児をないがしろにしている罪悪感を感じ、自分の中は常に不全感でいっぱいでした。
けれども、総合内科に来てびっくりしました。まずは、女性の先生方の活躍ぶりに圧倒されました。さらに、今までハンディキャップと感じていた女性ならではの視点や考え方も”多様性”として重宝してもらえ、出産、育児などの経験も診療に生かせると感じられるようになりました。
個人の努力が報われることは、当たり前のようで当たり前ではありません。しかし、総合内科にはいろんな専門分野の先生方が、個性を受け入れ、その人らしさを生かして活躍できるように後押ししてくださいます。
ぜひ、みなさんも一緒に、ご自分の中の個性や自分らしさに輝きを見つけてみませんか?
MIKAKO OBIKA
小比賀 美香子
総合内科・総合診療科
組織がつくる包容力が居心地の良さを生み出しているのだと思います。
私は第二次ベビーブーム世代です。「これからは、私たちの時代と違って、女性も職業を持って好きなことをしていいのよ」という、親世代の言葉に後押しされ、多くの女性とともに医学部に進学、医師になりました。当時、女性医師たちは、医師としてのキャリアを必死に積んでいると「結婚は?子供は?」というまなざしを向けられ、キャリアを断念して家庭に入ると「だから女医は・・」というまなざしを向けられました。私を含め、仲間である多くの女性医師が、医師としての「劣等感」、妻や母親としての「罪悪感」、そして自分に対する「不全感」に晒されてきました。
キャリアと家庭の間を何となく漂ってきた私は、今、当教室で臨床・教育・研究に従事しています。ジェンダー・ギャップ指数が156カ国中120位(2021)と低い日本の中でも、「男社会」の典型ともいえる医療業界は、女性にとって特に働きづらい環境と思われます。ところが、私にとって、この教室は不思議と居心地のよい場所です。働きやすい職場です。自分が年齢を重ねて、後輩が増えてきたということも、居心地の良さと関係があるのかもしれません。また、もちろん、「劣等感」「罪悪感」「不全感」のすべてが解消されているわけではありません。でも、この教室には、自分の弱さ、しんどさを含めた自分らしさを受け止めてくれる懐の深さがあるのだと、このエッセイを書きながら気づきました。自分の考えや意見を率直に言える場があります。多様なバックグラウンドをもち、それぞれ個性的なキャリアを進んでいる(時には休みながら)医師スタッフ、事務スタッフが織りなす組織がつくる包容力。この包容力が居心地の良さを生み出しているのだと思います。
当教室での、様々な素敵な出会いに感謝しています。
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